
小学校受験の対象となるのは、私立や国立の小学校です。
東京のような私立や国立の、附属小学校、中学校、高校などが数多くある地域では小学校受験も盛んですが、受験対象となる小学校が1校も存在しない県もあることから、中学校受験と比較をするとまだ普及度は低いと言えるでしょう。
小学校受験が広く知られるようになったのは、1994年にTBSで放映され、高視聴率を博した布施博、山口智子が主演したドラマ、「スウィート・ホーム」からで、特に塾の講師を演じた野際陽子のセリフにあった「お受験」と言う言葉は小学校受験の代名詞のようになりました。
ところで、小学校受験と中学校受験を比較すると大きな違いがあります。それは小学校受験においては、幼児受験塾などが行っている模擬試験の結果や、偏差値、合格の可能性の判定などがあまりあてにならないと言うことなのです。これは受験者が幼児(5歳or6歳)であるということの他に、各小学校の特色、カラーによって合格させたい児童が変わってくるからなのです。
これはその小学校が進学校なのか、宗教法人なのか、教育学部の附属なのか、あるいは共学か、男女別かによっても違ってきます。模擬試験の判定はあくまでも筆記や記憶が中心のペーパーテストを基にしたものですが、実際には面接や集団の中での行動などから総合的に判断されます。
具体的に例を上げると、数人で大きな積み木を積んで行く行動観察の試験のケースで、ある小学校ではリーダーシップを取れる子供を合格させますが、別の小学校では最後の1個の積み木を一番上に置いた子供の慎重性を重視します。
また別の小学校では最後まで黙々と片付けをしていた子供を評価します。このように各小学校で合格の基準が大きく違っているのも小学校受験の特色なのです。
小学校受験、いわゆる「お受験」をしようと考えた場合、東京や大阪、名古屋などの大都市では、ほとんどの家庭が「幼児教室」、つまり「お受験塾」に通わせることとなります。
塾はほとんどの場合が週1回で、時間は1時間半から2時間程度、ペーパー問題と運動などの行動観察対策、巧緻性や粘り強さなどを養う、折り紙や図画工作などを指導しています。小学生や中学生が通う塾との大きな違いは、親(主に母親)は送り迎えだけではなく、毎回の授業の解説や注意点などの指導があることです。
家に帰ってからの家庭学習のポイントや、次回までの課題点と考えていいと思います。どんな塾を選べばいいのか、については、やはり大手で、小学校受験の合格者実績のある塾を選んだ方がいいでしょう。また、志望校と近い塾、と言う選び方もあります。
このような選び方が何故いいのか、と言うことですが、これは情報量の違いです。多くの受験者が例年多数の小学校を受験しているような、大手の塾ではそれだけ多くの情報を持っています。どこの小学校ではどんな傾向の問題が出されて、過去にはどのようなタイプの子供を多く合格させているのか、親子面接では毎年どのような質問をされているのか、などの傾向と対策も取られています。しかしどんなに実績のある塾でも、子供に合わなければ何にもなりません。
大抵の塾は、有料ではありますが体験入学を受け付けていますので、いくつかの塾を試してみることをおすすめします。また、1ヶ月に1回程度の割合で行われる模擬試験は、塾外生も受験可能な場合が多いので、試しに受けてみて、子供の反応と、試験前後の保護者に対する説明や、講師の印象で判断されてもいいでしょう。
月謝はかなり高額ですので、しっかりと選びましょう。さてその月謝ですが、平均すると6万円前後、といった所です。もしも追加でコースを選んだり、志望校別の授業を追加すると、さらに高くなります。また夏期、冬期、春期などの特別講習は別料金ですし、定期テストが別料金になっている塾もありますので、かなりの出費を覚悟しておいた方がいいでしょう。
小学校受験では、子供と伴に保護者も試されます。入学願書でも面接試験でも、最も重要で、保護者の頭を悩ませるのが志望動機です。志望動機で大切なことは、どうしてこの学校に入学させたいのか、と言うことです。
そのためにはまず受験する小学校の学校紹介のパンフレットや、公式サイトなどから、その小学校の教育方針をよく理解した上で、家庭の教育方針と一致していることや、大きな感銘を受けて、是非子供を学ばせたいと思ったことなどを、自分の言葉で表現しましょう。
ただ、学校のサイトやパンフレットの文句を、そのまま受け売りで記入したり、答えたりするのは絶対にやめましょう。また、どこの小学校でも通用するような志望動機では、合格することは困難です。小学校受験の場合、使わない方がいい志望動機がいくつかあります。
1つ目は「近いから。」と言う志望動機です。確かに小学生ですので、地の利、と言うことは多少はありますが、近ければどこでも良かったのか、と解釈されかねません。
2つ目は「大学までエスカレーターで行けるから。」という言葉です。最初から楽をしようとしているのか、と言うことになります。最後は「お友達(先輩)が通学しているから。」です。では地元の公立小学校に行って下さい、となってしまいます。ただし、これらの理由も表現方法を変えれば十分に志望動機になります。
「近いから。」ではなく、「幼い頃から御校の児童の普段の様子や、運動会などに接する機会が多く、是非わが子も学ばせたいと思った。」、大学に関しては「余裕のある学生生活を送る中で、自他にゆとりのある人間に育って欲しい。」と表現します。
最後の友達に関しては、「ご近所のお子さんがこの小学校に通っていて、学校の話しを色々聞いていて、一緒に通わせたいと思った。」とすれば大丈夫です。もちろん他の小学校との比較や、他校をけなすことは論外です。とにかく美辞麗句は不要ですから、入学させたいと言う熱意をはっきりと伝えるようにしなければならないのです。
小学校受験の対象となるのは、私立と国立です。割と受験の傾向がはっきりしていて、試験問題や面接の質問を予想しやすい私立小学校と違って、国立の附属小学校は傾向と対策が立てにくくなってはいます。
塾では国立向けのコースを選択されることをおすすめします。また国立小学校によっては、はっきりと「本校は中学校受験に対しての受験進学校ではありません。」と明言している小学校すらあります。
国立の小学校は文部科学省の管轄化にありますが、文部科学省が、何か新しい教育要綱を施行する際に、まず最初に試されるのが国立の小学校なのです。
あまりいい言葉ではありませんが、実験台、という面もあるのです。また多くの国立小学校が、大学の教育学部の附属であるため、教育実習生が多いのも特徴です。多い小学校では年間の4分の1程度の日数で、大学生が来ていることになります。
そのうち数時間の授業は、その教育実習生が行うことになります。
こういった点は事前の学校説明会でも、「方針に納得されないで不服のある方は、他の学校へ入学下さい。」と説明されますし、入学願書とともに配布される学校紹介にも大抵明記されています。あくまでも、それを前提で設置している小学校で、合意の上で子供を通学させている家庭、と言うことなので、学校に対してのクレームは少ない、と言うのが現実です。
さらに、団体生活を通しての子供の成長過程のデータを取る意味から、国立小学校には実に色々なタイプの子供がいます。さらに一人っ子が多い学年、長子が多い学年、末子が多い学年、と言うことでも分かれますし、おとなしい学年、元気のいい学年、にも分かれるようです。
学校側はどういった趣旨で子供を選ぶか、選んだかは明らかにしませんから、幼児塾などは合格者の過去のデータから、推察することしかできません。
最後に国立の小学校受験には抽選があります。抽選のタイミングは学校によって違いますが、テストに合格しても抽選で外れて入学できないこともありますし、事前抽選ではずれてテストを受けることすらできないこともあるのです。国立小学校受験にあたっては、それなりの覚悟が必要なのです。
小学校受験を決意して、志望小学校が決まったら願書を準備します。
国立小学校の場合は、夏場以降に配布開始の所が多いのですが、私立小学校では、春先の5月、6月の第1回学校説明会の頃から配布を始めている所が多くなっています。国立の願書は大抵無料ですが、私立の場合はほとんどが1000円~1500円程度です。
願書は複数部を用意しておきましょう。何部も購入することはありませんから、1部購入したら願書だけを数部コピーしておくようにします。
これは下書きをするためです。正しい願書の書き方、などと言うものはありませんが、それを読む先生方の印象に残る願書を書かなければなりません。両親のどちらが記入してもかまいませんが、読みやすい楷書で丁寧に書くことが大切です。使用する筆記用具は黒か青の万年筆かボールペンですが、黒の万年筆を1本用意して書き慣れておくといいでしょう。
願書には事実のみを記入するようにして下さい。特に通学時間を大幅に短く書いたり、短所を省略する行為は避けましょう。長所と短所については長所の裏返しが短所、と言うニュアンスで表現するといいでしょう。
例えば、「何事に対しても非常に慎重で丁寧だが、作業に時間がかかる。」、「好奇心旺盛で色々なことに興味を持つが、多少飽きっぽい。」と言う表現を使えば、先生方も具体的にイメージがしやすいでしょう。また、各欄は空白を作らないように記入しましょう。余白や空欄はマイナスの印象しか与えません。
長すぎてはみ出すことも論外ですので、きっちりと収まる長さで書きましょう。また、「~才」は「~歳」と言う漢字を使い、住所もできるだけハイフンは使わず、丁目、番地、号、と言う表現で、マンションなどは部屋番まで明記しましょう。
小学校受験は願書の書き方で決まる、と言うことはありませんが、受験者が幼い分だけ保護者の熱意と誠意が現れる願書は重要になってくるのです。
小学校受験を真剣に考えるならば、問題集は絶対にやっておくべきです。小学校受験に向けての問題集は、一般の書店でも購入することができますが、できれば大手の幼児塾が、作成や監修を行った問題集を選んで下さい。
受験本番までにまだ時間があるのならば、毎日少しずつ色々なジャンルの問題集に取り組むようにしましょう。
小学校受験で実際に出題されるのは、お話しの記憶、積み木やブロックなどの立体図形や平面図形、点図形、常識・知識、数、言語、系列、観察、迷路、記憶、など実に多岐に渡っています。本番であわてない為には、数多くの問題をこなして経験しておくしかありません。
特に筆記試験重視の小学校では、毎年高難易度の問題が、かなりの量で出題されています。塾によってはこれらの問題を1冊1冊、ジャンル別の問題集として出版しています。時間があるのならばこれらの問題集を繰り返しやって見ましょう。
記憶などは大人でも覚えるのが大変なものもありますし、言葉のしりとりや、同頭音語、同尾音語も、子供はまだ字が読めないという前提での受験となりますので、絵を見てそれが何の絵なのかを判別する常識が必要になります。
知識のジャンルでは季節の行事はもちろん、野菜や果物の季節や特徴、動物の生態、昔話やおとぎ話のあらすじ、登場人物の把握も学んでおきましょう。一応これらの問題集を制覇したら最終的には受験する小学校の過去問を中心にまとめられた問題集をやっておきましょう。
受験本番では、出題される問題数には限りがあります。あらゆるジャンルの問題集をやっておけば、小学校受験本番での問題に対して、余裕を持って取り組むことができるのです。
小学校受験の先進地域は、何と言っても東京、神奈川、千葉を中心とする関東圏ですが、最近、関西の有名私立大学が相次いで附属の小学校を開設するなどで、関西圏の小学校受験もヒートアップしてきています。
これは東海地方にも言えるのですが、関西地区は関東地区と違って、公立が強い地域でした。全国からトップレベルの児童が集まる、灘中などの極一部の中学校を除けば、中学校も高校も公立校に優秀な進学校が多かったのです。
従って小学校受験に挑戦する人も決して多くはなく、私立小学校の数も少なかったのです。しかし近年の学級崩壊や、イジメなどの問題がクローズアップされるにつれて、細やかな配慮が期待できるであろう、私立小学校への進学を希望する家庭が増えてきました。
また、政府による教育再生会議の公立学校の学校選択制による学校間の格差や、関西の中心都市である大阪の全国学力試験での成績不振などの問題もあって、将来の受験戦争を憂慮してエスカレーター式に大学まで行ける、私立小学校が注目されているのです。
また関西地方にあって、京都だけは以前から小学校受験が盛んで、京都の私立大学の多くが早くから附属の小学校を持っていたということは、高級志向の高い京都ならではだと言えるでしょう。
小学校受験が過熱するにつれて、幼児塾の増加とともに、関東では、ある意味季節の風物詩としてすっかりおなじみの、「お受験スーツコーナー」が、関西の百貨店でも展開されるようになりました。東京や神奈川と比較すると、まだバリエーションはそれ程多くはありませんし、デザインも大差はありませんが、個性的な関西で今後、お受験スーツがどのように変遷していくのか楽しみでもあります。